AI投資に関する報道・ニュースをピックアップしています。
◆AI(人工知能)が活用されている分野の紹介記事です。「Google DeepMind グーグル・ディープマインド」…(囲碁プログラム)、「IBMワトソン」…(質疑応答システム)、「ディープ・ブルー」…(チェスプログラム)などと並んでAIが投資信託など金融商品を紹介してくれるロボアドバイザー(ロボアド)についてもわかりやすく解説されています。
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様々な分野で活用されつつあるAI(人工知能)。SFの世界で存在した「自分で考えて行動する機械」は、その形を変えて現実の世界に登場した。Google DeepMind (グーグル・ディープマインド)やIBMワトソンなど、世界で知られつつあるAIについて紹介する。
■人間のプロ棋士に初勝利、囲碁プログラムで知られる「Google DeepMind」
Google DeepMind (グーグル・ディープマインド)は、2014年にGoogleが買収した英国の企業で、買収前はDeepMind Technologiesという社名で2010年に設立された。ニューラルネットワーク(脳がどのように考えるかの特性を元にした数学モデル)に強く、人間がゲームに対してどのように対応していくのかなどを研究している。このように書くとあまり知名度もなじみもなさそうな感じに見えるが、囲碁のプログラムを開発して人間に勝利した、というニュースはお聞きになった方も多いだろう。
Google DeepMindは、2015年に囲碁プログラム「AlphaGo」をもって、人間のプロ棋士に歴史上初めて勝利した。囲碁は、チェスや将棋と比較して想定しうる差し手の数が非常に多く、力任せの計算能力で最善手を探していくというコンピュータ解析が難しいゲームだったが、人間に勝利することで大きく技術的に前進した。経済をはじめとした各種活動で行われる意思決定に用いられる数学的なモデルの中で、「ゲーム理論」はよく言われる言葉である。
これに用いられている「ゲーム」は、厳密にはゲームとは言えない部分もあるが、意思決定モデルにゲームの手法が用いられ、それが人工知能という形で意思決定を楽に実現できるのであれば、DeepMindが目指しているものは経済界でも援用できるものとして期待される。
■アメリカのクイズ番組に挑戦「IBMワトソン」
「コグニティブ(cognitive)」という聞きなれない単語と、印象的なCMで著名なIBMのシステムである。IBMワトソンは、人間の言語を理解して学習し、その意思決定を支援するというシステムを目指して開発がすすめられた。基本的には質問応答システムであり、人間が入力する情報(質問)に対して正確な答えを導き出すという明確な目標がある。IBMワトソンでは、その開発の道のりにおいて、「Jeopardy!(ジェパディ!)」というアメリカのクイズ番組に挑戦することをまず一つの目標とした。
「ジェパディ!」は出題されるクイズのジャンルが豊富で、問題文の文脈を理解して回答する必要がある
クイズ番組であり、英語初等教育の番組にも配信されたことがある。単純に知識の蓄積だけで勝ち抜ける類のクイズではないため、2011年に人間に勝利した時には話題となった。IBMの同様のプロジェクトとして有名なものとして良く知られているのが、チェス専用のコンピュータ「ディープ・ブルー」である。1秒間に2億手以上を計算するという言わば「力技」を使い、1997年に当時の世界チャンピオンだったガルリ・カスパロフを破った。ディープ・ブルーは処理能力で人間の知性に対抗しようとしたが、IBMワトソンはあくまで言語の自然な組み合わせを利用し、それを解析して人間の意思決定を助けるという機能があるため、それぞれ開発目的には別のものがあったと言える。ちなみにIBMではワトソンを人工知能としては紹介しておらず、そのためコグニティブ(認識の~)という表現を使っている。■金融商品の選択を助けるロボットアドバイザー
AIが投資信託など金融商品を紹介してくれるのが「ロボットアドバイザー(ロボアド)」だ。ITを活用した金融システムという意味では、ロボアドバイザーもFinTechの一種と言える。
現在は群雄割拠の時代で「お金のデザイン」のTHEOなど新しい企業が参入するパターンと、みずほ銀行の「SMART FOLIO」など従来の信託投資会社や金融機関が開発したものがある。
あらかじめ設定されたパターンを大きく逸脱することは無いが、人間の経験によるアドバイザー業務をAIを使って行う事で、大幅なコスト削減を実現している。
また投資家の面から考えれば、例えば投資初心者が右も左もわからないという状態でロボアドバイザーを使う事により、ある程度の方向性を決められ、しかも人間から教わるよりはコストは安いというメリットがある。
自動化された部分には特色があり、開発した会社の個性が出ると言われることもある。プログラム部分のアルゴリズム(処理手順)には、その会社が蓄積してきた経験が生かされており、その経験の差をもって自社のロボアドバイザーの特色として売り出している。
■処理能力の高さだけでは優れたAIとは言えない
ここにご紹介したものはAI技術を使ったほんの一例だが、ほとんどのものはかつてのディープ・ブルーのように「処理能力の高さ」を謳っているわけではなく、いかに「自然に考えられるか」という部分をセールスポイントとしている。膨大な経験則を自然な形で活用し、それをフィードバックするためにはもちろん処理能力も必要だが、AIの場合は人間の思考をいかに自然にシミュレートするか、という部分に着目されている点を注目するべきだろう。そこには人間と同じような個性が存在するからである。
(ZUU online)