AI投資に関する報道・ニュースをピックアップしています。
◆AI(人工知能)が銘柄を選択して運用する投資信託や個人投資家に資産運用をアドバイスするロボ・アドバイザーの詳細などAIを活用した投資情報について報じられています。
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「今や投資の世界は、機関投資家の間で繰り広げられるAI(人工知能)ロボットコンテストだ」。そう証券関係者は口をそろえる。
たとえば、株式市場を飛び交うのは高度な駆け引きだ。大量の買い注文を即座にキャンセルし、ほかの取引を誘発しようとする「見せ玉」(禁止行為)まで用いるなど、AIは現在、相場を大きく動かしているといわれている。
近年の急速な進歩により、投資におけるAIの存在感は一段と高まりそうだ。各社ともAI技術を活用した商品を次々と投入している。
■実際にAIが運用する商品が登場!
2016年12月、三菱UFJ国際投信は、機関投資家向けにAIが銘柄を選択する投資信託の運用を始めた。この投信は三菱UFJ信託銀行が実験してきたAIモデルを利用したものだ。
機械受注や有効求人倍率といった経済指標、移動平均や売買高など、市場に影響を与えるデータを分析し翌日のTOPIX(東証株価指数)の騰落を予測。上昇しそうな場合は株式に資金を振り当てる。
また、ニュースや有価証券報告書、ネットの書き込みなど、大量のデータから特定の銘柄のポジティブ度とネガティブ度を点数化し、ポジティブ度の点数が高い銘柄の購入を進める、というものだ。
そのほか、みずほ証券なども機関投資家向けに、AIを用いた株式売買システムの開発に取り組んでいるという。
AIは個人投資家向けにも使われる。代表的なサービスが、AIが資産運用のポートフォリオを策定するロボアドバイザーだ。楽天証券は16年7月、投資一任型運用サービス「楽ラップ」を発売した。
「野菜を買うとき、どのように選ぶか」「臨時収入100万円が入ったらどう使うか」などの質問に答えると最適なポートフォリオが提案される。診断自体は無料だ。
■ネット企業のヤフーもグループで参入
マネックス証券の「MSVLIFE」は「世界一周旅行」や「マイホーム」など資産計画の目標をまず設定する。そのうえで目標金額や期間、リスク許容度などを入力すれば、自動で資産運用計画が策定される。最低投資予算は1万円と、業界最低水準だ。
ヤフーは2016年11月、グループの投資信託委託会社、AIを開発する投資顧問会社とともに、AIが運用する投信の販売を開始した。ヤフーの天気予報やニュース、検索ワードなどのデータが分析に用いられている。
各社に共通するのは、コストの低さだ。信託報酬や手数料を低く抑え、最低投資金額も低い。参入障壁を低く設定し、多くの個人投資家を呼び込む構えだ。
米国ではAIによる投資が急速に広がる可能性がある。大手コンサル会社の米A.T.カーニーによる調査では、ロボアドバイザーが運用する資産額は20年には220兆円に達するとされている。
NTTデータ経営研究所の加藤洋輝シニアマネージャーは「米国では低い所得層の人々もサービスを享受できるようになり、投資に向かう人が増えた。ただ、日本は金融教育が足りていないことから、投資に消極的な人が多い」と指摘する。
長年、「貯蓄から投資へ」と叫ばれてきたが、AIはその一助になれるのだろうか。
(東洋経済オンライン)